カーリル・ジブラン『子供について』

 秋篠宮家に男児誕生で、日本中が華やかなムード。反面、今の日本という国は、誕生する子供たちにとって、どうしようもなく、おかしな社会になってしまっている気がします。

 

 商業主義のマイナス面が強く出ていることが最大の原因だとわたしは思っていますが、ただ自分も大人の一人としてそのおかしさを作り出している側の人間だと思えば、罪の意識に囚われ、誕生するどのお子さんにも幸多かれと祈らずにいられません。

 

 前にカリール・ジブランの結婚についての詩をご紹介したことがありましたが、子供の誕生についても有名な詩があります。これもすばらしいものなので、佐久間彪氏の名訳(カリール・ジブラン著『預言者』至高社、1984年)でご紹介致しましょう。

 

そこで、子供を胸にかかえた女が言った。お話ください。子供のことを。
アルムスタファは言った。
あなたの子は、あなたの子ではありません。
自らを保つこと、それが生命の願望。そこから生まれた息子や娘、それがあなたの子なのです。
あなたを通してやって来ますが、あなたからではなく、あなたと一緒にいますが、それでいてあなたのものではないのです。
子に愛を注ぐがよい。でも考えは別です。
子には子の考えがあるからです。
あなたの家に子の体を住まわせるがよい。でもその魂は別です。子の魂は明日の家に住んでいて、あなたは夢のなかにでも、そこには立ち入れないのです。
子のようになろうと努めるがよい。でも、子をあなたのようにしようとしてはいけません。
なぜなら、生命は後へは戻らず、昨日と一緒に留まってもいません。
あなたは弓です。その弓から、子は生きた矢となって放たれて行きます。射手は無窮の道程にある的を見ながら、力強くあなたを引きしぼるのです。かれの矢が早く遠くに飛んでいくために。
あの射手に引きしぼられるとは、何と有難いことではありませんか。
なぜなら、射手が、飛んで行く矢を愛しているなら、留まっている弓をも愛しているのですから。

 

 ―カリール・ジブラン『預言者』(佐久間彪訳、至光社、1984年)より―

 

2006年9月 7日 (木)